トランス脂肪酸て何なの?

トランス脂肪酸に関しての盛り上がりは昨年アメリカ食品医薬品局(FDA)が食品への添加を3年以内に全廃すると発表した辺りが一番で、今となってはフーンてなもんです。とは言え、トランス脂肪酸は私も食べてるのでちょっと自分なりにまとめておきますよ。このブログにしては超長い文章ですよ。

まず、トランス脂肪酸の前に脂肪酸です。脂肪酸は一般式 CnHmCOOHで表せる構造をしてまして、カルボン酸(COOH)に炭素鎖2個以上引っ付いてる構造で、炭素鎖の余っている手には水素が引っ付いています。炭素鎖の長さによって短鎖脂肪酸(2~4個)、中鎖脂肪酸(5~12個)、長鎖脂肪酸(12~)とされ、今回関係あるのは長鎖脂肪酸です。良く聞く中性脂肪はグリセリンに脂肪酸が3つ付いたものです。3つの種類は決まっていなく組み合わせは何でもありです。

また、脂肪酸の性質を決定するものに炭素鎖の2重結合の有無があります。基本的に炭素鎖の炭素同士は一対の手で繋がっていますが、場合によっては、その手が2対になっています。2重結合の無い脂肪酸は飽和脂肪酸と呼ばれ、動物の作る脂肪酸は大体これで構造的にはまっすぐです。一方、2重結合を持つ脂肪酸は不飽和脂肪酸と呼ばれ、植物作る脂肪酸に多いです。構造的に2重結合の部分で少し折れ曲がった構造です。2カ所二重結合のある炭素鎖は2カ所で折れ曲がっています。魚油のDHAなんかは6カ所も2重結合が有り、もうグニャグニャです。ついで話ですが、魚自身もDHAはほとんど作れません。海中の植物性の餌から摂取したものを貯めているだけです。

そして、この2重結合の有無による分子構造の違いがどこに効いてくるかと言いますと、油の堅さに効いてきます。ご存じの通り、動物の脂は20℃前後では固体ですが、植物の油は液体です。この差は簡単に言うと密度の違いで、一定空間当たりに脂質を詰め込む場合、まっすぐな飽和脂肪酸だと規則正しくギュウギュウに詰め込めます。一方曲がっている不飽和脂肪酸だと隙間が出来るのでスカスカになるといった感じです。

この性質を利用して作られているのがマーガリンです。常温液体の直物油に水素を添加する事で炭素鎖の2重結合の一対の手を切って、その空いた手に水素を握らせます。こうすることで曲がった脂肪酸の一部をまっすぐな脂肪酸に変換し、あの絶妙な堅さを作っているわけです。

話がそれますが、バター、マーガリンみたいに粘度のような力を加えると形を変えて維持される性質を可塑性と言います。英語ではPlasticityと言います。日本の感覚でプラスチックと言えば硬いイメージですが、英語圏では柔らかいです。ビニール袋も向こうではプラスチックバッグと言ってますし、プラスチック爆弾も良くドアに貼り付けたり、信管をぶっさしたりしてますね。何でこんな話をしているかと言いますと、マーガリンが出来たとき「食べるプラスチック」として騒がれました。この原因は誤訳というか感覚の違いで、元々は液体である植物油が可塑性を得ただけなのですが、そのままプラスチックと読み取ってしまい、プラスチック→何か工業製品っぽい!→自然ではない!!→体に悪そう!!!と言うわけです。マーガリンがプラスチックならば、バターもまたプラスチックと言うことですね。もし、マーガリンは「食べるプラスチック」とか言ってる人が居たら情報が更新されてないので気をつけましょう。

話は戻りまして、ようやくトランス脂肪酸の話です。炭素の2重結合で炭素鎖が曲がると散々書いてきましたが、実際のところ必ずしもガッチリ曲がるわけではないのです。ここで出てくるのがトランス型とシス型です。この型の違いは2重結合している炭素に結合している水素の場所です。シス型は2個とも同じ側で曲がります。トランス側は互い違いになっていて曲がると言うよりズレるという感じで遠目にはまっすぐに見えます。で、大体の生物の作る脂肪酸はシス型で、トランス型の脂肪酸は自然界では非常にレアな存在となっています。なので、基本的に生き物を食べてる分にはトランス脂肪酸のことは無視してOKと言う事です。ところが、植物油に水素を添加してマーガリンやショートニングなどの硬化油にする行程で、このトランス脂肪酸が結構な割合で出来ちゃったワケです。

で、人の体は自然界に存在しないものに対しは、経験が無く慣れてないので何が起こるか分かりません。調査しないといけません。その結果、「トランス型脂肪酸もシス型脂肪酸みたいにエネルギーとしてちゃんと使われてるわ」「いっぱい食べると、同カロリーのシス型脂肪酸に比べてどうもLDH(いわゆる悪玉コレステロール)が増えるっぽいんだが」悪玉コレステロールが増えると血管詰まって死ぬから良くないよな、と言う話でアメリで規制されましたと言う事です。ちなみにこの話はソースは読んでません、ごめんね。

で、ここまで書いておいて私自身はトランス脂肪酸どうするの?と言う事ですが、明治のチューブでバター1/3愛用者である私はこれからも使い続けるでしょう。理由は2つで、1.ちょっとくらい良いじゃない。2.便利だしサクサク感は大事。量に関しては世界保健機関(WHO)の設定したトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満にすると言う目標は、1日2000kカロリー摂取、マーガリンに10%トランス脂肪酸が含まれるとして、ざっくり計算すると、毎日20gのマーガリンを食べ続けてはいけない、と言う程度です。たまのトーストくらい許してくれよ!と言うかアメリカ人どんだけ油脂を食ってんだよ!あと、焼き菓子のサクサク感は熱に安定なマーガリン、ショートニングあってのこと。しっとり系クッキーも美味しいけどね。

もちろん、できる限りコレステロールを減らす必要のある人には全くお勧め出来ない。人への影響がまだハッキリしていないとは言え、悪影響の可能性があるものにあえて近づく必要は無いでしょう。ただ、そういう人はバターも駄目な気がするよ。

最後に、私の好きな2chの書き込みを貼り付けて終わります。この内容が正確である保証はありませんよ。なにせ2chだし。

マーガリンの歴史ワロタwwwwwwwwwwww

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/22(火) 22:13:22.92 ID:wGB4KRcl0
1880年 アメリカ 安くておいしい改良型のマーガリンが開発される 
 ↓ 
乳製品業界「にせバター死ね!規制しろ!税金かけろ!」 
農業「せ、せやな・・・よくないな・・・」 
 ↓ 
政府「マーガリン1ポンドにつき2セントのマーガリン税を導入するわ」 
政府「あとマーガリンの卸と小売を認可制とし、認可料が徴収するわ」 
乳製品業界「ざまあ!」 
お客さん「マーガリンください」 
 ↓ 
政府「マーガリンはバターと同じ値段で売ること、安売りしちゃダメ」 
乳製品業界「ざまあ!」 
お客さん「マーガリンください」 
 ↓ 
マーガリン屋「これからは国産(アメリカ産)の植物油を使うよ!油売って!」 
綿花農家「ありがてえwww」 
大豆農家「ありがてえwww」 
 ↓ 
農業「マーガリンいいやつだったわ 誤解してたわ」 
政府「酪農は大事だけど、もうマーガリン差別をやめざるをえないわ」 
乳製品業界「・・・」 
 ↓ 
医者「正直、バターは心臓ぶっ壊す毒です。マーガリンのほうがマシ。」 
乳製品業界「・・・」 
 ↓ 
医者「トランス脂肪酸っていうのもある」 
乳製品業界「っしゃああああああああマーガリンは毒!マーガリンは毒!プラスチック!」 
 ↓ 
マーガリン屋「製法変えてトランス脂肪酸減らしたよ」 
お客さん「マーガリンください」

FDA(https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm451237.htm

農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/index.html

厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html

 


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