不老長寿までいくと「いやいやいや無理っしょ」と思ってしまうのですが、楽して痩せるくらいなら「マジかよ!!」と食いついてしまうのが人の性。ネットを彷徨っているとたまにそんなニュースに出くわします。せっかく興味を持ったて食いついた事柄なので、ちゃんと咀嚼して知識として蓄積していきたいところです。
実際のニュースは決して楽して痩せる方法ではなくて、見出しとしては「脂肪をただ貯蔵する白色脂肪細胞を脂肪を燃焼して熱を産生する脂肪細胞にする方法を見つけたぜ」とかそんな感じ。元々の論文のタイトルは「PexRAP Inhibits PRDM16-Mediated Thermogenic Gene Expression」でPexRAPと言うタンパク質はPRDM1というタンパクが仕切ってる熱産生関連のタンパク質の遺伝子発現を抑制しますよ」という感じで、ちょっとニュアンスが違うというか痩せることに対するパッションが減ってます。
http://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(17)31219-6
研究内容としては前から怪しいと思ってたPexRAPをぶっ壊したネズミを作ったら、脂肪を蓄積する白色脂肪細胞が少なくて脂肪の蓄積も少なくて、エネルギー消費が多い小さなネズミになりました。PRDM16は本気出したら熱生産に必要なタンパク質群を発現させるので、白色脂肪細胞に熱産生能力を与えることができる。でもPexRAPが邪魔してるので無理ですよと。
なので、PexRAPが働かないよう薬を作れば、飲むだけで勝手にガンガン脂肪が燃やされて痩せちゃうよ。夢のような話ヤッター、てなもんですよ。
まぁ実際、そういう薬が出来たとしてそう簡単にはいかないんですけどね。まず、このPexRAPはどこにあるのでしょうか?脂肪細胞だけかな?というわけで、THE PROTEIN ATLASというタンパク質の分布が分かサイトで見てみましょう。
あー、全ての組織でガッチリ発現してますね。と言うことは結構普遍的な細胞機能を担っているのかもしれませんね。この働きを止めたら色んなところに影響でそうですね。だいたい、小さいネズミが出来ましたってどれくらいかというと通常の1/3以下って、それはもう痩せてるというレベルじゃないし、明らかに発達障害が出てる。あうー。
でも、諦めてはいけません。世の中には微小針がついたパッチで表皮から直接脂肪組織に薬をぶち込んで、白色脂肪細胞に熱産生能力を与えて痩せようぜ。みたいなことをやってる人たちもいるので、気長に待ちましょう。今のところ全部ネズミの話ですけどね。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.7b04348
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